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2008年5月28日水曜日

最近読んだ本

ここ最近読んだ本は山田詠美氏の「風味絶佳」の文庫本と白石一文氏の「この世の全部を敵に回して」の2冊。
久しぶりに文学作品を立て続けに2冊読みました。風味絶佳は「アトリエ」が一番面白かったとおもいますが、後のは何だかちょっと苦手な部類です。僕はもともと女性作家はあまり得意じゃないので。塩野七生さんと高村薫さんを除いて女性作家の本に自分から手が伸びることは
稀です。特に表題の「風味絶佳」的なテイストがどうも自分の母さんに直に抱っこされているようなキマリの悪い心地がしてしまうんですよね。やっぱり僕照れ屋なんだと思います。とにかくこういったムズ痒いような後味をしっかり残してくれるところがスゴい。さすが巨匠。
もう一冊の白石一文氏の方はなんというか中学校の時にとても頭が良く文学的野心に富む生徒の作文を読んだ時のような感じがしました。
「愛こそはすべて」だけどその意味を取り違えるなよ!と釘をさされた感じというか、今あまりにも思考の浅い薄ーい世論の動きに対して
本気で物申しているところがすごいとは思いましたが、帯の「21世紀の人間失格」というのは止めた方がいいと思います。浅薄な商業主義に対峙した本なのに硬派で売れそうもないから一冊でも売る為にその商業主義に妥協した感じになって作品そのものが安っぽくなってしまう感じがします。それに人間失格はもっとエンターテイメント性に富んでいるし読ませる力をもった小説だと思いますが、白石氏の今回の小説は全然それとは違う哲学的な話だし全く遊びの部分がなく、独善的な独白に依って真実を語ろうとしている独り言で語りかけられている感じがない所が根本的に違う。最初から読者をたのしませようとは意図していない作品なので、それは正直に言えばいいんじゃない。と思いました。まぁ嫌いじゃないですけど、この感じ。という訳で久しぶりに読書にスイッチが入っている今日この頃です。

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